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月読尊(ツクヨミノミコト) 目立たないという事が目立っています

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神様

月読尊は天照大神の弟で素戔嗚尊の兄で、夜の神・月の神です。

殆ど目立たず一体どうしてしまったのかと気になるところで、その目立たないという事が逆にとても目立っています。

何故そうなってしまったのかと思われることが人々の関心を引きます。

①【月読尊(ツクヨミノミコト) 目立たないという事が目立っています】誕生

ツクヨミノミコトは古事記では「月読命」と書き「ツクヨミノミコト」と読み、日本書紀では「月読尊」と書き「ツクヨミノミコト」と読みます。

また月弓尊(ツクユミノミコト)・月夜見尊(ツクヨミノミコト)と表記されることもあります。

月読尊(ツクヨミノミコト)は父の伊弉諾尊(イザナギノミコト)の右目から生まれています。

父の伊弉諾尊(イザナギノミコト)が母の伊弉冉尊(イザナミノミコト)を追って黄泉の国(よみのくに/死者の国)へ行き、地上に帰って来たとき禊(みそぎ/水浴のこと)をします。

そのイザナギの禊(みそぎ)のとき左目から天照大神(アマテラスオオミカミ)が生まれ、次に右目から月読尊(ツクヨミノミコト)が生まれ、次に鼻から素戔嗚尊(スサノオノミコト)が生まれました。

イザナギは顔を洗った時に生まれた三神を、自らが生んだ神々の中で最も尊いとして三貴子(みはしらのうずのみこ、さんきし)と呼びます。

ツクヨミとはその名の通りイザナギから夜の世界を支配するように命ぜられ、暗闇に月の光を届ける神となります。

しかしイザナギから夜の世界を支配するようにと言われてからのツクヨミの登場は殆どありません。

弟のスサノオの行動が無鉄砲なところがあるので、それに比べるとツクヨミはひっそりとしている印象です。

無鉄砲とは後先のことを考えず勢いで行動を起こすことをいいます。

またツクヨミはどうなってしまったのかと余計に気になる存在です。

ツクヨミは月を読むということで月の満ち欠けとの結び付きが強いという特徴があります。 

月は十五日かけて新月から満月になり次の十五日をかけて新月に戻っていきます。その繰り返しで太陰暦の暦(こよみ)ができていました。

太陽の女神が天照大神で月の神が月読尊で、陽と陰になります。

三種の神器の一つの八坂瓊勾玉(やさかにのまがたま)の大きく丸い上の部分は太陽を表し、下の曲線の部分は月を表しているといいます。

太陽は昼間に光を届け、月は夜に光を届けるということで一対なのです。

月の光は太陽の光の反射であり月自体が自分の力で光っているわけではありませんが、月は夜の天体の中ではかけがえのない存在です。

天照大神は日本の最高神であり伊勢の神宮に祀られ全国の神明(しんめい)神社(天照大神を祀った神社)は約5000社あるとされ、素戔嗚尊を祀った神社も全国の祇園社を始め出雲国や東京方面など全国に数千社と数多くありますが、月読尊が祀られた神社の数はそこまで多くはありません。

②【月読尊(ツクヨミノミコト) 目立たないという事が目立っています】祀られた神社

月読尊の御神格は月神・農耕神・占いの神です。

ツクヨミを祀った神社はとても貴重です。

【伊勢の神宮の内宮(ないくう)である皇大(こうたい)神宮の別宮・月読宮(つきよみのみや/三重県伊勢市) 御祭神は月読尊】

【伊勢の神宮の外宮(げくう)である豊受大神宮(とようけだいじんぐう)の別宮・月夜見宮(つきよみのみや/三重県伊勢市) 御祭神は月読尊】

豊受大神宮(とようけだいじんぐう)は食と産業の守護神で、天照大神の食事を司っています。

月夜見(つきよみ)神社 (青森県西津軽郡)

出羽三山(でわさんざん)神社 (山形県鶴岡市)

月山(がっさん)神社 (山形県東田川郡)

月山(がっさん)神社は山形県の月山(がっさん)山頂にある神社です。

賀蘇山(がそやま)神社 (栃木県鹿沼市)

阿佐ヶ谷神明宮(あさがやしんめいぐう) (東京都杉並区)

阿佐ヶ谷神明宮(あさがやしんめいぐう)は伊勢神宮との結びつきが深く、御祭神は本殿では天照大神、東の摂社では月読尊、西の摂社では素戔嗚尊です。

摂社とは神社の格式の一つで本社に付属しその御祭神と縁故の深い神を祀った神社です。

月読(つきよみ)神社 (神奈川県川崎市・京都府京都市左京区・長崎県壱岐市/いきし・鹿児島県鹿児島市・鹿児島県鹿屋市/かのやし)】 

京都府京都市左京区にある月読(つきよみ)神社は松尾(まつお)大社摂社で松尾七社の一社であり、松尾大社の南400mの場所に位置しています。

松尾大社は701年に創建された京都最古の神社で、お酒の神様を祀る神社として有名で御祭神は大山咋神(おおやまぐいのかみ)・市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)です。

長崎県壱岐市の月読(つきよみ)神社が全国の月読神社の元社です。壱岐市は壱岐島を主な行政区分とする島です。

西寒田(ささむた)神社 (大分県大分市)

他にも月読尊を祀った神社はまだまだあります。

やはりその月読尊のひっそりとしているところが最大の武器というか、ひっそり感がとても目立ち吸い込まれていきそうです。

③【月読尊(ツクヨミノミコト) 目立たないという事が目立っています】保食神(ウケモチノカミ)を殺した

出雲国(島根県)の大国主命(オオクニヌシノミコト)が助けた因幡の白兎を祀った白兎(はくと)神社(鳥取県鳥取市)は、御祭神は白兎神(ハクトシン/ハクトカミ/シロウサギノカミ)で大国主命と八上比売(ヤガミヒメ)の縁結びの神社です。

この白兎神社に合祀として保食神(ウケモチノカミ)と豊玉姫(トヨタマヒメ)が祀られています。

保食神(ウケモチノカミ)は食物を司る女神で、豊玉姫(トヨタマヒメ)は海の女神・真珠の女神・子育ての女神です。

保食神(ウケモチノカミ)は古事記でイザナギとイザナミの神生みで大宜都比売神(オオゲツヒメノカミ)という名で、イザナミがやけどで亡くなる原因になった火の神を生む前に生まれています。

日本書紀によると三貴子(みはしらのうずのみこ、さんきし)がイザナギにそれぞれの支配領域を命ぜられた後、天照大神がもう高天原(たかまがはら)にいるのにツクヨミに日本の国にいるウケモチノカミの様子を見てくるように命じます。

ツクヨミは地上のウケモチノカミの所へ行きます。

ツクヨミを見たウケモチノカミは陸に向かうと口から米の粒を出し、海に向かうと口から大小の魚を出し、山に向かうと口から毛皮の動物達を出しました。

ウケモチノカミがツクヨミをそれらの物でもてなすので、ツクヨミは汚らわしくいやしいことだと言い、ウケモチノカミが口から出した物をツクヨミに食べさせようとしたことでツクヨミは剣を使いウケモチノカミを殺してしまいました。

そのことをツクヨミが高天原(たかまがはら)で天照大神に報告したところ、天照大神はツクヨミがウケモチノカミを殺したことを非常に怒り、天照大神はツクヨミに「お前は悪い神だ。もうお前に会いたくない」と言いツクヨミとは昼と夜に分かれて別々に住むようになりました。

天照大神が使いにウケモチノカミの所へ行かせたところ、本当にウケモチノカミは亡くなっていました。

ウケモチノカミからは牛や馬・粟(あわ)・蚕・稗(ひえ)・稲、麦・大豆・小豆(あずき)が生じていて、使いは天照大神の所に持ち帰ると天照大神は大変喜び、それらを使って稲作の基礎を作りました。

稗(ひえ)は縄文時代から伝わる日本最古の穀物です。

保食神(ウケモチノカミ)は稲荷神として稲荷神社などにも多く祀られています。

ツクヨミはウケモチノカミを殺してしまう程なので、ウケモチノカミが口から出した食べ物でツクヨミをもてなそうとしたことが相当に気に入らず許せなかったのだと思いますが、殺してしまうとはツクヨミの怖い一面です。

穏やかそうに見えるツクヨミが女神であるウケモチノカミを殺してしまうとは驚きです。

ツクヨミはウケモチノカミを殺したことで天照大神に嫌われ、天照大神と疎遠になったことも目立たなくなった原因ですね。

ウケモチノカミは女神なのですから口から出した食べ物といっても吐物ではなく、食物を司る女神という自分からの神聖な食べ物だったはずなので、殺されてしまい天照大神が怒るのも当然だと思います。

ましてやウケモチノカミは食物を司る女神でとても大切な存在なのです。

④【月読尊(ツクヨミノミコト) 目立たないという事が目立っています】まとめ

もし夜空に月が無くなったとしたら夜空はとても寂しくなります。

曇っていて夜空に月が見えないと何かが足りないような満たされないような気持ちになります。

太陽は全ての生命の源で光や温度を与えていますが、月は陰ながら全ての人を見守ってくれている有難い存在です。

時間でみた場合、昼半分夜半分なので、時間としても太陽と同じくらい月にお世話になっているのです。

特に夜は家の中に入っているので月は意識しないと見る機会がありませんが、夜と月はイコール月読尊なのです。

「お陰様」という言葉は月の意味の「陰」から来ているので、謙虚に「お陰様で」と言う時もしっかり月読尊が見ていると思います。

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