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狛犬【獅子狛犬が本当の意味の神様の頼もしい魔除け】

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神様

狛犬は獅子狛犬という呼び方が本来の意味ですが、今では神社や寺院で神様の魔除けになっている一対の動物を狛犬と呼んでいます。

起源は元はエジプト・メソポタミアから伝わったものと古く、日本では平安時代に御所清涼殿の御帳台の前に初めて置かれています。

①【狛犬 獅子狛犬が本当の意味の神様の頼もしい魔除け】役割

狛犬は神社や寺院に置かれている石で作られた獅子や犬に似た空想上の動物です。

狛犬は寺社(神社と寺院の総称)に奉納された霊獣の像で、寺社に一対で置かれています。

狛犬には魔除けの役割があり、守るべき神様や寺社には背を向けています。

神様を守るための狛犬は、左右両側から参拝客を出迎えてくれているようにも見えます。物言わぬ狛犬ですが参拝客に「よく来たね」と言ってくれているような印象を受けます。

狛犬は殆どが怖い顔つきをしていますが、その怖い顔つきで魔除けという大切な役割をずっと果たしてくれているのです。

本来は口を開き角が無いものは獅子(ライオン)で、口を閉じ角(頭の中央に一つ)が有るものが狛犬とされていましたが、今では角が有っても無くても、便宜上獅子と狛犬をまとめて狛犬と呼んでいます。

しかし正確には狛犬は口を閉じ角がある自分から向かって左側の狛犬を狛犬といいます。角は両側には無く真ん中に一つ有りますが、無いものもあります。

狛犬は鳥居のそばだけでなく本殿や本堂の前にも置かれ、外に置かれるため石で作られています。

宮中など室内に置かれる場合は木・銅・陶器などで作られています。

狛犬が伝来した平安時代から元々今と同じように右が獅子で左が狛犬という置き方で、神様や天皇の前からもっとだんだん前へと出て行くようになりました。

狛犬の対を雄と雌として見た場合は仲睦まじい夫婦仲と円満な家庭を表し、母狛犬が赤ちゃん狛犬を抱っこしているものは子宝に恵まれることと子供が健やかに育つようにと豊作の願いも込められています。

どの神社の狛犬も一つ一つ皆違い、同じ狛犬は無いといいます。そしてどの狛犬も作った石職人の方の力作です。

②【狛犬 獅子狛犬が本当の意味の神様の頼もしい魔除け】阿吽(あうん)の呼吸

中国の陰陽の思想で「阿(あ)」は男性で陽とされ口を開き「吽(うん)」は女性で陰とされ口を閉じています。

「阿吽(あうん)の呼吸」とは息がぴったり合った人との行動のことをいいます。

サンスクリット語(古代インド・アーリア語に属する言語でヒンズー教の礼拝用言語)の始まりの文字が「阿(あ)」で、終わりの文字が「吽(うん)」でその始めと終わりの両方の文字からきています。

つまり人生や物事の始めから終わりまで、つまり「この世の全て」という意味になります。

自分から向かって右が口を開けている獅子、左は口を閉じている狛犬で、日本人は左右の非対称性を好むと言います。

動きがあったり変化を好むということですね。

ちなみに「阿(あ)」の意味はおもねる(人に気に入られるように振舞う)で「吽(うん)」の意味はほえる、ということです。

③【狛犬 獅子狛犬が本当の意味の神様の頼もしい魔除け】歴史

狛犬は平安時代に宮中京都御所で天皇のそばの魔除けとして置かれていました。

狛犬の始まりの元は古代エジプト(スフィンクス)・メソポタミアで、インドの仏教寺院から中国へ伝わり、朝鮮の高麗(こうらい/918年~1392年/朝鮮半島の王朝)を経て朝鮮半島を通り飛鳥時代に仏教と共に日本に伝わりました。

「狛(こま)」の意味は狛犬の略語とされていて高麗犬のことです。高麗犬とはオオカミに似た獣の一種とされます。

境内の参道に狛犬が置かれるようになったのは江戸時代に入ってからです。そのためか大和時代に建てられた伊勢神宮の参道には狛犬が置かれていないのです。

京都御所の清涼殿(せいりょうでん/平安中期から室町末期までの京都御所の天皇のお住まいの御殿)の狛犬が日本で初めて置かれた狛犬です。

清涼殿御帳台(みちょうだい/平安時代に貴人が就寝するために置いた畳二枚ほどの寝台)の前に獅子狛犬がいました。

日本初の獅子狛犬は、平安時代(794年~1185年)から御帳台(みちょうだい)の前に置かれ高さは約50cmで木製で、濃く焦げ茶色に彩色されていますが彩色の上の金箔は殆ど剥がれてしまっています。

しかしそれがまた趣があり長い年月を感じさせてくれます。

自分から向かって右が口を開いている獅子で、左が口を閉じ角がある狛犬です。

御帳台(みちょうだい)の前で天皇を守るのと同時に、御帳台の上から垂らしている布の重りの役目もしていたといいます。

獅子狛犬が神社の前に置かれるようになったのは平安時代末期からで、それまではまだ本殿や拝殿の中に置かれていて、江戸時代になり寺社の参道に置かれるようになりました。

狛犬は神様をもっと手前から守るという意味で神様から遠い所から置くのが良いとされるようになり、本殿前からだんだん神社の手前の鳥居まで出て行き現在のようになりました。

④【狛犬 獅子狛犬が本当の意味の神様の頼もしい魔除け】色々な狛犬

「玉取り」や「子取り」や「尻上がり型」の狛犬がいます。

玉乗りとして阿形(あぎょう)の狛犬が足元に玉を置いて押さえていたり、玉を口にくわえたりしたものが居ます。

狛犬が玉を扱っているものをまとめて「玉取り」といいます。

足で玉を押さえているものは玉にあやかって物事が良い方向に転がりますようにという願いが込められているといいます。

玉には模様がありボールというよりは上品な鞠(まり)で、奇麗な装飾の刺繍が施された貴族の遊び道具または飾り物であったものと見受けられます。

古代インドで最強と言われていた獅子と高級感のある鞠(まり)で煌(きら)びやかさがあり王者の風格です。

玉取りをしている狛犬は子供の狛犬の場合もあります。

阿形(あぎょう)の狛犬が口に玉をくわえている時は苦しい体勢に見えますが、これは口は災いの元なので余計なことを話さないようにという戒めの意味を示しています。

怖そうな獅子と上品な鞠(まり)は優雅でよく似合っています。

子取りは吽形(うんぎょう)の狛犬がするものと思われがちですが、阿形(あぎょう)の狛犬が子取りをすることもあります。

子宝に恵まれ、豊作で子供がすくすくと育ちますようにという願いが込められています。

獅子狛犬のお腹の下に赤ちゃん狛犬が居ることもあり、また吽形(うんぎょう)の狛犬が赤ちゃん狛犬を人間がするように抱っこしているものもあります。

また殆どの狛犬は「お座り型」をしている体勢の中、今にもこちらに向かって来そうな敵を威嚇するような体勢の「尻上がり型」の狛犬が居ます。

迫力満点です。強い威力で魔物を退治する役目を果たしています。それにより神様が守られ、人々も運に恵まれるようになるのです。

獅子は唐獅子(からじし)のことを獅子といい、中国や日本に伝わる神獣で、元は仏陀の一族を守護するインドライオンがモデルになっていました。

鋭い牙と体の渦巻模様(唐草模様)が目立ちます。

蛇(へび)や龍も魔除けとなり、大国主命(オオクニヌシノミコト)は「因幡の白兎」で助けた兎や大黒様を野火から助けてくれたネズミと縁が深く、菅原道真が祀られる天満宮は牛と縁が深く、また衣食住・稲の神様を祀る全国に約三万社(合祀/ごうし も含む)もある稲荷神社は神様の使いの狐と縁が深く、神様として祀られた神社に神様と縁の深い動物の姿の魔除けが置かれています。

菅原道真の死後の神としての名前の「天満大自在天神(てんまんだいじざいてんじん)」の大自在天(だいじざいてん)はヒンズー教におけるシヴァ神の仏教でのお姿で、大自在天(だいじざいてん)は仏教に入り仏法守護神となり、像は一般に三目八臂(さんもくはっぴ/臂はひじという意味)でお顔が一つで目が三つで手が八本というお姿で、白い牛に乗っています。

ここで牛に乗ることから菅原道真は牛と縁があります。

また菅原道真は丑(牛)年生まれで、しかも丑の年の丑の日の丑の刻生まれだったことや、普段から牛を可愛がっていたことでも牛と縁があります。

菅原道真は陰謀にはめられ太宰府(福岡県太宰府市)に左遷(させん/低い身分になること)されてから二年後に亡くなりましたが、菅原道真は生前に遺体を京都に運ばれることを望まず太宰府に葬られることを望んでいました。

そのため柩(ひつぎ)を牛に引かせたところ、まもなくして牛が動かずに途中で座ってしまったため、従者達はこの場所に葬るというお告げと思いその地に御墓を造り、そこが現在の太宰府天満宮になりました。

その時の牛が座り込んだため天満宮の牛は殆どが臥牛(がぎゅう)と言われる座った牛になっています。臥(が)とは臥床(がしょう)の臥で、横になっている、という意味です。

天満宮の牛は「お使いの牛」といい、お使いというのは神や仏のお使い、天神様のお使いという意味で、撫でると願いを叶えてくれると言われています。

⑤【狛犬 獅子狛犬が本当の意味の神様の頼もしい魔除け】まとめ

狛犬というと顔や姿が怖くても、苔(こけ)が付いたりして古くなって汚れていても、長い間神様の魔除けの役割をしてきてくれたという長い年月の重みを感じます。

そして怖そうな狛犬も可愛らしい狛犬も、どの狛犬も一つ残らず皆とても価値があるのです。

狛犬は架空の動物ではあってもきっと魂があるのだと思います。

狛犬が自分の方を向いていると本物の生き物に見られているような、それも狛犬の目に自分が映っているだけでなく自分の考えていることまで狛犬には見透かされているような厳(おごそ)かな気持ちになります。

それと同時に神様を守っているというとてつもない強さも感じます。

神様をお守りするということは自身が相当強くなければできることではありません。

神様は人々を守ってくださり、その神様を狛犬が守っているのですから、狛犬はとても強くまた間接的に人々を守っているということになります。狛犬にはパワーが溢れているのです。

外で雨風に打たれてもいつもいつも神様を守っている狛犬は尊くて有難い存在です。

また狛犬は神社の景観を賑やかにしてくれています。

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